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  3. もしもの自然災害に備える。心身の健康を保つ知恵

近年、集中豪雨による水害や地震による都市機能停止など、大きな自然災害が頻発している日本列島。被災時の物理的な被害はもとより、人々の健康に関する被害は大変深刻で、その後の生活においても、暗い影を落とすため、健被災時の健康保全は大きなテーマです。

被災地にあっても、人々の健康は復興の希望であり、生活の礎です。
実際に被災を経験した方々が、明日への希望をつなぐため、そしていつ自分の住む街で起こるかと不安な気持ちを抱えて過ごしている方々にとっても、防災に対する知識が「破邪の剣」となるはず。互助の精神を忘れず、冷静に対処できるよう、しっかりと心に留めておきましょう。

災害時、実はお口を清潔に保つことは手指の消毒と同じくらい大切。

災害関連死という言葉をご存知でしょうか?これは災害の直接原因ではなく、災害との因果関係が認められる死因のことを指します。実はこの災害関連死の中で最も多のが誤嚥性肺炎であり、災害直後の不便な生活の中で見過ごされがちな、口腔環境の衛生問題に起因していると言われています。

1995年発災の阪神・淡路大震災では、災害関連死における誤嚥性(ごえんせい)肺炎の比率が4分の1を占めたと言われています。また、2011年発災の東日本大震災でも、災害関連死の死因で肺炎が最も多かったと言われており、発災から1週間~2週間後に肺炎で亡くなられた方が最も多かったということがわかっています。 発災後、口の中で増え始めた歯周病原菌は、たったの1〜2週間のうちに誤嚥により肺に移動し、致命的なまでに増殖したということです。

人は、水や食料なしでは生きていけません。被災時の思わぬ健康被害を食い止めるためには、災害時こそ歯みがきを行い、口腔衛生を保つことが、手指の消毒と同じくらい重要と言っても過言ではありません。誤嚥性肺炎だけでなく、歯みがきはインフルエンザなどの感染症予防にも大変効果があります。防災グッズには、歯ブラシや液体ハミガキ・デンタルリンスを必ず加えておきましょう。

もしもの自然災害に備える。心身の健康を保つ知恵

アレルギーのある方は、常時薬の携帯を。

災害時、アレルギーに十分に考慮された食料が手に入らない場合もあり、体調を持ち崩してしまう場合があります。場合によっては、命にかかわる重篤な症状に見舞われることもありますので、必要な薬は常時携帯するようにしましょう。
また、万が一怪我をした場合などに備えて、アレルギーに関する情報を記載した『「緊急時(災害時)のおねがい」カード』や、それに類するものを常時携帯してください。

■ぜんそくなどのアレルギー

避難所はホコリやチリが多いので、呼吸器官のトラブルが起こりやすくなります。使い捨てのマスクの他、一週間程度の予備薬を必ず保持しておくようにしましょう。またネブライザー(吸入器)などは、自動車のアウトレットプラグから電源を取れるよう、変換器と共に保管しておくと、もしもの時の備えとなります。

■アトピーなどの皮膚疾患アレルギー

ステロイドなどの塗り薬を一週間程度予備を携帯しておくようにしましょう。水の使用が限られる避難所での生活は、皮膚の衛生を保つことが困難になりがちです。タオル代わりになるアルコールフリーのウェットティッシュや、皮膚表面の保湿を行うワセリンなどのクリームも防災グッズとして確保しておきましょう。

■食品アレルギー

アレルギーフリー食品を備蓄している自治体もありますが、現実的に少数であると言わざるを得ません。家族に食品アレルギーを持つ人がいる場合は、アレルギーフリーの食品を一週間から10日程度分保管しておくようにしましょう。
また、炊き出しなどの食品でアレルギー症状が出た場合に備えて、エピペンや抗アレルギー薬を必要十分量保有しておくようにしましょう。

エコノミークラス症候群にも気をつけよう

飛行機での長時間移動に伴う疾患として知られるエコノミークラス症候群ですが、避難所生活が長期間続くことで、発症しやすくなることでも知られています。適度な水分補給と、手足をこまめに動かすことで予防しましょう。

心のケアも忘れずに

災害は人々の心に大きなショックを与えます。「自分よりも辛い人がいる……」と思いやる優しさは大切なことですが、災害の当事者である自分自身や、救援活動に携わる方々が、自身が感じているショックやストレスを我慢することは、必ず必要ということではありません。
判断の難しいところもあると思いますが、周りの人々との助け合い、支え合いの中でケアできない状況であると感じた場合は、専門家やボランティアの手を借りることが大切です。

関連リンク
災害時、心のケア(日本赤十字)
もしもの自然災害に備える。心身の健康を保つ知恵
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