蒸し暑い日が続く日本の夏。細菌由来の食中毒が発生しやすくなる季節です。
暑い時期の食中毒に関わる主な原因は、病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌O157、O157以外)、カンピロバクター、リステリア、その他の細菌(サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌、他)などの細菌類。いずれも重症化すると生命に関わる危険もあり、夏場は特に注意が必要です。
厚生労働省では、食中毒予防の3原則を「食中毒菌を”付けない・増やさない・やっつける”」と定め、具体的な方法を6つのポイントに分けて提唱しています。
実はこの6つのポイント、興味深いことに「宇宙食」を製造する過程で生まれたNASAの食品衛生管理法HACCP(ハサップ※2)を、家庭向けに派生させたものなのだそうです。このコラムでは家庭で行うHACCPを、簡単に紹介したいと思います。
食品の購入 | ・新鮮なものを調達する ・生ものは保冷剤と一緒に |
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家庭での保存 | ・帰宅したら、なるべく早く冷蔵庫へ ・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下をキープ |
下ごしらえ | ・手を洗う、タオルやふきんは清潔なものを使う ・野菜はよく洗う ・包丁は切るたびに、熱湯で流す |
調理中 | ・手を洗う、タオルや付近は清潔なものを使う ・十分に加熱する(中心温度が75℃で1分以上) ・キッチンは常に清潔に |
食事 | ・食事の前に手を洗う ・食器(取り分け用のカトラリーを含む)は清潔なものを使う |
残った食品 | ・手を洗い、清潔な器具や容器を使い保存する ・温め直すときは十分に加熱する |
※厚生労働省「 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」 [580KB] より抜粋
健康道場の腸内環境や発酵食品のコラムでもお話していますが、私たちは普段から細菌や微生物の恩恵を受けて生活しています。人間にとって有害な食中毒も細菌や微生物の活動の一部であり、生命が生きていく上で切っても切り離せないこと。しっかり対策をして、夏の食中毒を予防しましょう。
※1細菌性食中毒……細菌や微生物を原因とする食中毒のこと。他にウイルス性、真菌性、寄生虫・原虫、化学物質、自然毒などに由来する食中毒が存在する。
※2HACCP(ハサップ)……Hazard Analysis and Critical Control Pointsの略で、危害分析(HA)・重要管理点(CCP)を意味する。製造における重要な工程を連続的に管理することによって、ひとつひとつの製品の安全性を保証しようとする衛生管理の手法のこと。
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