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睡眠にまつわる疑問。睡眠のゴールデンタイムってホントにあるの?

もっと見るタグ: ノンレム睡眠, メジャースリープ, ラクトフェリン, レム睡眠, 徐波睡眠, 生活習慣, 睡眠, 睡眠の質, 睡眠負債, 腸内環境

睡眠にまつわる疑問。睡眠のゴールデンタイムってホントにあるの?

私達の身の回りにある「健康の常識」の中には、長きに渡り広く知られ、その後、あまり情報がアップデートされないままになっていることが多々あります。当たり前だと思っていたことが、改めて研究を進めてみると間違いが判明したり、新たな発見によって定説が覆されたりすることは、日々研究が進む医学・科学の世界では、実ははよくあること。

こちらのコラムでは、睡眠に関する常識の中から「睡眠のゴールデンタイム」という定説について、掘り下げてみたいと思います。

そもそも、睡眠のゴールデンタイムとは?

睡眠のゴールデンタイムとは「午後10時から午前2時のあいだに」「成長ホルモンが最も分泌される」ため、「美肌を目指すなら」「規則正しい生活を送り」、「ゴールデンタイムに睡眠をしっかり取るべきである」という説です。因数分解的にこの言説を紐解くと、完全に正解とは言い難い部分も多くあります。

例えば、午後10時から就寝できるライフスタイルであれば、なんとなく6時間以上の睡眠時間を確保できそうな気がしますよね。これは身体にとって望ましいことですし、誰にとっても「これは良さそうだ」と、腹落ちしやすい話です。
そして「睡眠中に成長ホルモンが分泌されること」も「美肌には成長ホルモンが大きく関わっている」ということも、決して間違っていません。

また中医学的な考え方では、午後11時からは「胆嚢、肝臓、肺の解毒時間」で、睡眠によって解毒が進むと言われています。間接的ながらこのような別の言説が、積極的ではないにしろ、睡眠のゴールデンタイム説を支持する材料になった可能性も否めません。

睡眠のゴールデンタイムの何が間違っているのか?

成長ホルモンは、時間帯で分泌されるものではありません。ずいぶん昔から言われていますが・・・少なくとも1977年の論文にも時刻に関係ないことは明言されています。 「睡眠と成長ホルモンの分泌」に関する研究資料によると、成長ホルモンの分泌は時間帯によるものではなく、睡眠直後に訪れる徐波睡眠(ノンレム睡眠)と密接な関係があることが分かりました。つまり、「睡眠をとる時間帯」が重要なポイントなのではなく、睡眠直後の90分程度のノンレム睡眠の時間こそが、成長ホルモンを正しく分泌させる重要なポイントだということです。
例えば、深夜2時に寝ても、眠り始めに深いノンレム睡眠に入れれば、成長ホルモンは出ますが、逆に、22時に寝ても眠りが浅ければ、成長ホルモンはあまり分泌されません。
「睡眠のゴールデンタイム」を考える上で大切なことは、「何時に寝るか」ではなく「いかに最初に深いノンレム睡眠に入れるようにするか」ということなのです。

睡眠にまつわる疑問。睡眠のゴールデンタイムってホントにあるの?
出典:NATIONAL GEOGRAPHIC「健やかな睡眠のカギを握る「メジャースリープ」とは」記事掲載、国立精神・神経医療研究センター三島和夫氏の研究データより引用

睡眠と成長ホルモンの鍵をにぎるのは「メジャースリープ」

成長ホルモンを分泌する上で、もう一つ重要なポイントとして上げられるのが、徐波睡眠(ノンレム睡眠)の深さとリズムに関するもの。通常、睡眠中は約90分周期でノンレム睡眠とレム睡眠が交互に訪れます。

ノンレム睡眠(徐波睡眠) 特に入眠直後に現れる深い睡眠。脳も身体も休める目的があると言われています。次のレム睡眠出現が近づくにつれ、眠りが浅くなってゆきます。
レム睡眠 別名・逆説睡眠とも言われ、脳は覚醒状態で体を休める目的をもった睡眠と定義されています。

この睡眠における一連の構造のことを専門的に表す言葉を「メジャースリープ」(※1)と言います。 成長ホルモンの分泌には、この「メジャースリープ」状態をしっかりとまとめて確保することが大切だということが、現在、研究者の間では共通認識となりつつあります。

睡眠は、細切れにとるより集中的に

もちろん睡眠が圧倒的に不足している時は、短時間でも睡眠確保を優先すべき場合もあると思います。ですが、睡眠の基本は、同じ時間睡眠でも「細切れに取るよりまとめて取る」ほうが、よりメリットがあるということをぜひ覚えておいてください。
何故ならば、細切れに睡眠を取ることで徐波睡眠(ノンレム睡眠)が浅くなり、成長ホルモン分泌の減少や、脳の疲労解消をする作用が低減してしまう傾向があるから。
例えば、お昼寝や通勤電車の中で眠ることなどが、メジャースリープのリズムを乱す一因になり、睡眠の質を下げてしまう場合も考えられるそうです。これはちょっとびっくり!ですよね。

今すぐ実践できる!睡眠の質を高めるカンタンな方法

運動
こちらのコラムでもご紹介していますが、日常の適度な運動は、睡眠にも良い影響を与えます。
頭脳労働が多く、運動量が少ない自覚がある方は、ぜひNEATを意識して生活してみてください。食後のお散歩もおすすめです。

同じ時間に目覚めること
遅く寝た日の翌朝は、遅くまで眠ってしまうという方も少なくないと思います。睡眠時間の確保という意味では重要ですが、体内時計や概日リズム、さらにはメジャースリープの観点から言うと、太鼓判を押せない行動。起床時間を一定に守れば、就寝のタイミングも整い、睡眠のリズムも守られるということを意識してみましょう。

腸内環境改善を整える
睡眠の質と腸内環境が密接に関わっている事が、最近の研究から明らかになってきました。食事や運動で、腸内環境を整えることが、質の良い睡眠のための第一歩。しかし、食事や運動で腸の調子が良くなっても、段々と腸が慣れてしまってまた調子が…という方も多いそうです。
そんな時は、食事・運動に加えて、腸に良い素材をサプリメントで取り入れることがおススメです。まだあまり有名ではないかも知れませんが、天然の抗菌成分として知られるラクトフェリンには、腸を土台から整える作用があることがわかってきました。サンスターの研究調査(※2)によると、ラクトフェリンを配合したサプリメントを2週間服用したことで、腸内環境が整う事で、睡眠感の改善や、翌朝の疲労感の低減が確認されています。

「最近睡眠が不規則でお肌の調子が…」という方は、睡眠時間の確保はもちろんですが、同時に睡眠の質も、ぜひ意識してみてくださいね。

  • (※1)川端裕人・三嶋和夫著「8時間睡眠のウソ」(日経BP、2014)より
  • (※2)ラクトフェリン含有食品が睡眠不良者の睡眠感,気分状態および腸内環境に与える効果 ―無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験― Effects of Lactoferrin Supplementation on Sleep Quality, Mood States, and Enteric Environment in Poor Sleepers ―Randomized, Placebo‒controlled, Double‒blind Study― Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol. 46 no. 1 2018 より
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