健康食品の関連キーワードとして、良く耳にする「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」。身体に良さそうだけど、はっきりとした違いはよくわからないという方も多いのではないでしょうか? このコラムでは、その違いについて解説したいと思います。
「健康食品は医薬品ではない」が大前提
医薬品は、「疾病の治癒」を目的とし、医師や医療機関が処方するもので、医師や薬剤師の管理・指導によって、安全かつ効果的に服用する環境が整備されています。当然のことながら、GMP(Good Manufacturing Practice 適正製造規範)に基づき、一定の品質が確保された製品として製造されています。
一方、健康食品は、疾患の治癒を目的とした医薬品とは異なり、「健康維持」を目的とした食品です。サプリメントなどの錠剤や、カプセル状の健康食品は、医薬品と混同されがちですが、その目的は全く異なります。
一般食品と健康食品の違いとは?
では、健康食品とは、私達の健康を維持する上で、どのように便益をもたらすものなのかを考えてみましょう。
私達が生命活動を維持し続けるためには、生まれてから死ぬまで食品を摂取し、エネルギーに変えていく必要があります。エネルギー源となる糖質・脂質・タンパク質は3大栄養素と呼ばれ、これにビタミン・ミネラルを加えたものを5大栄養素といい、生命維持に必要な栄養素です。
摂取する栄養素に不足があるならば、しっかりと食品で補うという考えのもと、不足している栄養素を効率良く摂ることを目的としたものが健康食品です。
健康食品とは一体何か?
一般的に販売される(生鮮食品を含む)食品は、法令上下図のように区分されています。
栄養機能食品(健康食品)
1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定めた下限・上限値の基準に適合している食品のことで、基準に達していれば、販売時に届け出を行う必要はありません。
指定栄養成分
脂肪酸(1種類)/ミネラル類(6種類)/ビタミン類(13種類)
「トクホ」と「機能性表示食品」
「特定保健用食品(トクホ)」と「機能性表示食品」は、どちらも科学的な根拠に基づいたデータと、
安全性試験をもとに、機能の表示が許された食品ですが、申請や届出の流れや表示に違いがあります。
国が、人での安全性と効果を、個別製品として審査し、消費者庁長官が保健機能(健康の維持・増進に役立つ効果等)の表示を許可した食品のことです。商品には「トクホ」マークの表示が許可されます。
トクホ申請には、大掛かりな試験が必要です。商品を販売するより前の研究コストが大きく、大手メーカーでないと取得が難しいという点がありました。
■機能性表示食品2015年にスタートした新しい制度で、事業者の責任において、一定の科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のこと。その安全性と機能性の根拠等については、販売前に事業者から、消費者庁長官へ届け出し、申請が認可された届出情報が消費者庁のウェブサイトで公開されています。
トクホと同様に、臨床試験(RCT)やシステマティックレビュー(systematic review)という、科学的検証を経て、研究責任は事業者自らが持ちます。トクホのように審査に莫大な費用が発生せず、商品の開発から販売までのスピード面では事業者に優位性があり、大企業だけでなく中小企業にも、道が開かれた制度です。優れた商品を世に送りだし、人々の健康を支える、ということが制度の根幹です。
トクホの商品も機能性表示食品も、各企業が、味や機能・安全性を地道に研究し、生まれてきた商品です。ご自身の体調や生活習慣の中で、今不足している栄養素を補うことを念頭におき、必要に応じて、目的に適したトクホや機能性表示食品をお選びくださいね。
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