![[京都]閑臥庵(かんがあん)](https://www.kenkodojo.com/column/wp-content/uploads/sites/3/2018/01/spot_detail18_01.jpg)
[京都]閑臥庵(かんがあん)
黄檗宗の禅寺で供される伝統の普茶料理
「京の七口」のひとつ、鞍馬口にある1671年開山の黄檗宗の禅寺、瑞芝山閑臥庵(ずいしざん かんがあん)。境内には江戸時代、黄檗宗(おうばくしゅう)の伝来とともに伝わった精進料理「普茶料理(ふちゃりょうり)」を京都ならではの雅な趣向でアレンジしたお食事がいただけるという珍しいお店が併設されています。

高タンパク低カロリーの元祖ヘルシー料理

禅寺というと質実剛健なイメージを持ちますが、こちらの閑臥庵はとても女性的な風情が漂っています。たたみや襖という昔ながらの日本家屋にテーブルと椅子が置かれたギャップのある室内でいただけるのは、普茶料理。「普茶」とは普(ひろ)く、多数の人にお茶を差し上げるという意味で、もともとはお寺での行事についての打合せのあとの慰労会で出される精進料理を指します。元来、普茶席は4人が一卓に対座し、一器一椀から一品ずつをお給仕なしでいただくものだったそうです。それゆえ、お料理はすべて4人分の盛りつけが基本ですが、この寺ゆかりの後水尾法皇(ごみずのおてんのう)が好んだ三百年来伝統の味を広く世間に知らしめたいという思いから、閑臥庵では2名から予約することができます。
予想を超えた、だしのきいた満足感の高い味わい

普茶料理は精進料理の一種で、動物性素材を使用していません。なので薄めのお味で質素な見た目を予想していると、一度目は出された料理の華やかさに驚かされます。これは京都のおもてなしの心をお膳に表わしたいと当主の庵主さま(女性ご住職のこと)の発案だそう。取材時はお昼の懐石コースをご用意いただきましたが、夜の懐石は朱塗りのご膳の上に、青、黄、赤、白、黒の宇宙を象徴する五色の食材がより一層映える形で供されます。二度目の驚きは口に含んだとき。一見、味が薄そうに見えるお料理ですが、しっかりとだしがきき、それでいて素材そのものの味が感じられる滋味にあふれています。だしももちろん鰹節など動物性素材ではなく、椎茸や野菜などからとったもの。油や葛を巧みに使うことでも知られる普茶料理。実際、見た目より腹持ちもよく満足度の高い食事で、ベジタリアンやヴィーガンの多い外国のお客さまから人気があるのも納得です。
映画『キル・ビル』の世界に迷いこんだような館内
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お食事をいただく建物の玄関。日本家屋でありながら、金と銀の市松模様の襖などが目を引く。
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黒を背景に色鮮やかな鯉や花が描かれた玄関横の屏風が客人をお出迎え。
外国の方の目には、木造家屋、畳、襖や障子などがいかにも日本的に映り、私たち日本人から見ると、金や銀のふすまやシャンデリア、色のついた畳などがどこかエキゾチックに思える不思議な空間。そこにも「非日常の空間でお料理を楽しんでほしい」という庵主さまの思いがあるそうです。
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懐石料理とはいえ、全室、椅子席というのがうれしい。母屋の一室は黄金色の襖にきらびやかなシャンデリアが設えられた、不思議な空間。
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緑の庭に面した、離れの個室。こんなに広い空間も2名から予約可能。桜の春、もみじの秋と昼はもちろん、ライトアップされる夜の景色も圧巻

いわゆるお寺とは印象を異にする独特の雰囲気が新鮮。「京都にはこんなところもあったのか」、とその奥深さを感じます。350年もの歴史を誇る普茶料理を目でも楽しめるよう美しく表現し、それでいて高タンパク低カロリーが守られたヘルシーなお料理。普茶料理を食べていて僧侶たちはおしなべて長寿だったということからも、「健康は食事から」という、いにしえの教えに誤りなし、の思いを強くします。
取材日:2015年2月20日
閑臥庵(かんがあん)
営業時間 | ランチ: 12:00~15:00 ディナー: 17:00~21:00 |
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定休日 | 定休日なし |
交通 | 地下鉄烏丸線「鞍馬口」駅より徒歩3分 〒603-8146 京都市北区烏丸通鞍馬口東入ル278 (地図 ) |
電話 | 075-256-2480 |
WEBサイト | http://www.kangaan.jp/kangaan.html |
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