今、”腸”がアツい!
ゲノム解析でわかり始めた腸と健康の密接な関係
いやー、腸内細菌ブームですね。ここ数年でTVや雑誌などで特集されているので皆さんも目にする機会が増えたのでは。腸内細菌の存在がわかったのは、1700年ごろ「微生物学の父」と呼ばれた科学者・レーウェンフーク(オランダ)が自作の顕微鏡で糞便を観察したことに端を発すると言われています。
2000年以降、遺伝子を解析する装置の能力が飛躍的にアップし、加速度的に複雑な細菌集団についての分類法の研究が進みます。ヒトを構成する細胞が60兆個と言われる中で、大腸の細菌の種類・量は500~1000種類、その数は100〜1000兆個、重さも約1.5kgに及ぶとも言われています。
腸内細菌が今、これほどブームを巻き起こしているのも、腸内細菌によりヒトの健康状態が多くの影響を受けているからでしょう。栄養面では効率的なエネルギーの獲得、ビタミンやミネラルの消化吸収促進があり、感染・免疫の面ではヒトの免疫系の刺激や有害菌の除去や抑制といった働きを持っていることが分かっています。
将来的にはさらに解明が進み、今はまだ謎の多い腸内環境のことが一層明らかになるかもしれませんね。
健やかな腸内環境を作ることこそ、究極の健康法?!
腸内細菌の数や種類
腸内細菌は乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌と大腸菌やウエルシュ菌と呼ばれる悪玉菌のほかに日和見菌と呼ばれる、そのときどきで善玉菌、悪玉菌の優勢なほうに味方する菌が存在します。腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の叢とは村という意味で多様なもので構成されているのが本来の姿です。これらの善玉菌・悪玉菌・日和見菌は腸の中で一定の役割を果たしながら活動しています。悪玉菌を完全に排除するのではなく、ようは善玉菌が元気な腸内を保つことが大切なのです。
消化器官としての腸の役割
私たちが毎日摂る食事は胃に運ばれ、強酸性の胃液によりお粥のような状態にされ、小腸へ運ばれます。炭水化物やたんぱく質、脂肪など分子構造が大きいものは腸管で吸収可能なブドウ糖やアミノ酸などの小さな単位に分解される必要があります。腸内細菌には、この分解を促進する消化を助ける働きがあります。つまりどんなに栄養価の高い食事もこの分解が行われなければ、栄養として吸収されず腸を素通りし、糞便となって排出されるのみということです。実にもったいない話ですよね。
消化器官以外の腸の役割
腸は人間の免疫の約70%をつかさどるといわれています。驚くべきことに腸管免疫系システムは、身体に有益なものと有害なものを識別する優れた機能を有しており、有害な細菌や病原菌を排除し、食品や腸内細菌など安全なものは排除しないようコントロールしています。この腸管免疫系は腸内細菌が存在しないとうまく機能しないことがわかっています。腸内細菌のバランスがくずれると免疫力が落ち、病気になりやすくなるというのも、腸内免疫系のシステムが上手く働かないことに起因するんですね。
腸内環境を決定づける要素とは?
遺伝などの先天的な要素 | 双子の腸内細菌は似ているという事例や、動物での実験ですが、一部の遺伝子が変わると腸内細菌叢に変化が生じることも報告されています(※1)。 |
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居住地や食習慣など後天的な要素 | 納豆を好んで食べる日本、キムチを食べる韓国の他、長寿大国として有名なジョージア(旧グルジア)のヨーグルトなど、腸内細菌に有用な発酵食品は地域ごとに特色があり、それらによって増える腸内細菌の種類も変わってきます。食物繊維が豊富な野菜やオリゴ糖なども腸内細菌のエサとして最適と言われています。 また、抗生物質(身体に有害な細菌を死滅させる薬品)を摂ると、身体に有用な働きをする腸内細菌も同時に減ってしまいます。このように日々摂取するものが、腸内細菌の種類や数に大きな影響を及ぼします。 |
その他の影響要因など | 学者によっては、血液型によって定着しやすい腸内細菌が変わる傾向があると指摘する声もあります(※2)。 |
腸内細菌が国によって違うってほんと?
腸内に常在する細菌比率によって区別される腸内細菌叢の型をエンテロタイプと呼ぶのですが、国や地域によって違いがあるのでしょうか?
日本人に特有の腸内細菌があるってほんと?
日本人が好んで食べる食材の中には、世界の他の地域では食べる習慣が無いものもあります。
日本人の子供たちの腸内環境は良いらしい?
中国、台湾、タイ、インドネシア、日本の5カ国で調査をした結果によると......。
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